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『日本がまだ知らずにいる魔獣。
          2014年、ついに新局面へ』



ステージ上に見知らぬ男たちが解き放たれた次の瞬間、「嘘だろ?」と叫びたくなった。その場に炸裂した轟音の強靭さと、その激流にびくともしない咆哮、そして不敵な面構えにときおり笑みまで浮かべてみせる4人の姿に、「こいつらにまだ誰もツバをつけていないなんて、悪い冗談だろ?」と感じさせられたのだ。

それは2013年6月に東京で開催された『METAL BATTLE JAPAN』でのこと。優勝者には四半世紀以上の歴史を持つドイツの巨大メタル・フェス『WACKEN OPEN AIR』への出場権が与えられるというこのコンテストに、彼らは最後の出演者として登場した。そのコンペティションへの資格は、未契約であること。しかし僕の目には、彼らの姿が、同イベントのために海外から招聘されたスペシャル・ゲストのように見えた。僕自身はその場に、審査員の一人として居合わせていた。結果、残念ながら彼らをドイツへと送り出すことは叶わなかったが、以来、このバンドの存在は常に意識のどこかに引っ掛かり続けてきたし、僕個人にとっての同夜の最大の収穫はこのバンドとの出会いだったといえる。

桁外れの超絶プレイヤーはここにはいない。音楽性についても、めちゃくちゃ斬新だとは言いがたい。しかしあの夜、ステージに現れた途端にその場の空気を変えてしまった強烈な存在感と、いい意味でガツガツとした欲望のベクトルの強さ。それは彼らにとっての、何ものにも代えがたい財産であり魅力だと感じずにいられなかった。頭で考えることばかりが優先されがちな草食系の時代にあって、その肉食獣的な匂いにも惹かれるものがあった。もちろん実際の彼らには必要充分の理性がある。が、それを上回る衝動、向う見ずな突進力といったものがひしひしと伝わってきたのだ。

HEXVOIDは、客観的に見れば、まだまだ無名同然の存在だと言わざるを得ない。が、2007年の結成以来、都内や近郊の狭苦しいライヴハウスや、アメリカ東海岸(彼らは2013年1月、無謀にもNY地区でのツアーを敢行している)に至るまでのさまざまな場所で彼らが蒔き続けてきた可能性の種が、そろそろ芽を出すことになる頃だろう。まだ正式報告するには時期尚早ながら、実は国内外を問わず、さまざまなプランが水面下で動き始めているという。それこそ「FOR MYSELF」のミュージック・ビデオひとつを目にしただけでも、あの日の僕のように「嘘だろ?」と感じる人は少なくないはずだ。「どうして今日まで俺、このバンドを知らずにきたんだ?」と。

2014年1月 増田勇一

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